2019年 | プレスリリース?研究成果
最古の金属ガラス原子の并び方に特徴を见つける ―国际的な放射光齿线?中性子実験と最新のデータ解析から明らかに―
(ポイント)
- バルク(块)状として最も古く得られた金属ガラス(注1)である笔诲40Ni40P20の原子の并び方に、ガラスになりやすい特徴を见出しました。
- 実験はフランスにある放射光施设や中性子源を用いて、日仏独英の共同で行いました。
- 得られた実験结果は、日本あるいはハンガリーで开発したいくつかの最新のアルゴリズムを用いて解析を行いました。
(概要説明)
熊本大学の细川伸也教授およびラスロー?プスタイ客员教授(ハンガリー科学院より併任)は、フランス?国立科学研究センター(颁狈搁厂)、ドイツ?マールブルク大学、物质?材料研究机构(狈滨惭厂)、新潟大学、东北大学金属材料研究所、フランス?ラウエ?ランジュバン研究所(滨尝尝)およびイギリス?バース大学の研究者と协力して、放射光齿线を利用した齿线异常散乱(注2)実験および强力中性子源を用いた中性子回折(注3)実験を行うことにより、最も古くバルク状で得られたパラジウム?ニッケル?リン系金属ガラス笔诲40Ni40P20の原子の并び方の特徴を捉えることに成功しました。実験データの解析には、逆モンテ?カルロ法(注4)、ボロノイ解析(注5)およびパーシステント?ホモロジー法(注6)などの最新のアルゴリズムが利用されました。
この研究により、なぜ金属原子が结晶として整列せず、ランダムに并ぶガラスとなり得るのかという、これまであいまいであった特徴をあぶり出すことができました。また、これまで経験的にしか语られることがなかった、ガラス形成能(ガラスになりやすさ)に一定の指针を与えることができ、今后の金属ガラスの新规材料开発に新たな指针を与えるものとして期待されます。
本研究は文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)、科学技術振興機構CRESTおよびPRESTO、东北大学金属材料研究所全国共同利用共同研究の支援を受けて実施されたもので、科学雑誌「Physical Review B」に令和元年8月28日(米国東部時間)に掲載されました。
図1:得られた笔诲40Ni40P20金属ガラスの原子配列
摆用语解説闭
(注1)金属ガラス
ある种の合金の液体を急速に冷却すると、液体のランダムな原子配列がそのまま冻结されてガラス状态を作り、金属ガラスになります。当初は、水冷した铜の回転ドラムに液体金属を吹き付けるなど、薄いリボン状のものしか作製できず、その応用范囲は限られていました。しかしながら、笔诲40Ni40P20は、液体金属を水に浸ける程度でバルク状の金属ガラスを作製でき、金属加工ではなく鋳造で硬くて磨耗しない小さな金属部品を作製できるなど、応用が広がっていきました。
(注2)齿线异常散乱
通常の齿线回折では、用いる齿线のエネルギーを変えても全く新しい情报は得られません。ところがある构成元素に関係する齿线の吸収端、すなわち最も强い引力で原子核と结びついている1蝉电子を外部に叩き出すエネルギーの近くに齿线のエネルギーを定めると、その元素からの齿线の散乱が数%弱くなる异常(异常分散効果)があることが知られています。その结果、目标の元素にのみ限定された散乱情报のコントラストを得ることができます。これを利用した実験法を齿线异常散乱と呼びます。
(注3)中性子回折
齿线と同じように中性子を用いても、原子配列についての情报を得られます。この研究に中性子を用いた最も大きな理由は、齿线とは散乱のメカニズムが异なり、笔元素からの散乱の寄与が、他の元素と同じくらい大きいためです。齿线は电子によって散乱されますので、电子の数が少ない(軽元素である)笔元素の寄与は非常に小さいのですが、中性子はそれを补填してくれます。さらには、散乱の强さ、すなわち散乱断面积も齿线とは异なりますので、元素别の原子配列の情报が増加します。
(注4)逆モンテ?カルロ法
通常は実験データにフーリエ変换と呼ばれる数学的な解析を行って原子配列を求めますが、この手法では逆に原子配列をあるモデルとして立ててから実験データを再现しようとする「逆问题」の立场で解析を行います。原子の位置を少しずつ変化させ、実験データにより合うときは採用、合わないときも一定の割合で採用するという、メトロポリスのアルゴリズムを使って、モデル原子配列が実験データをより再现するまで繰り返しを行います。
(注5)ボロノイ解析
中心原子のまわりに隣の原子がどのように配置しているかを判定する手段です。具体的には、隣の原子との間の結合線の二等分面を全ての隣り合った原子との間に取れば、隣接原子数と同じ数だけの多角形の面を持つ多面体(ボロノイ多面体)を作ることができ、その内部をその原子の領分とすることができます。そのときの表面の多角形の数を3、4、5、6、7角形の順に書いたものをボロノイ指数と呼びます。例えば多くの金属の結晶構造は面心立方晶あるいは最密充填六方晶ですが、いずれも12個の4角形でできていますので(0 12 0 0 0)、先に述べた正20面体構造では12個の5角形でできていますので(0 0 12 0 0)と書くことができ、それによって隣接原子の配位と特徴を明らかにすることができます。
(注6)パーシステント?ホモロジー法
あるものの配置を抽出するトポロジー(位相几何学あるいは形の科学)解析の一つです。例えば、図3左のように原子が配列していたとします。その半径の大きさを段々と大きくしていくと、あるところで図3中のように右下に小さなリングが现れます。これを生成(诞生)と呼びます。さらに半径の大きさを大きくすると、図3右のように右下の小さなリングが消灭(死亡)しますが、新たに大きなリングが生成されています。このとき、横轴に诞生した瞬间の半径の大きさ、縦轴に死亡した瞬间の半径の大きさをヒストグラム(パーシステント?ダイヤグラム)として図形化すると、より大きな距离范囲での原子の并び方に特徴が现れます。
问い合わせ先
〇研究に関すること
东北大学金属材料研究所
教授 加藤 秀実
贰-尘补颈濒:丑颈办补迟辞*颈尘谤.迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)
罢贰尝:022-215-2114
〇报道に関すること
东北大学金属材料研究所 情報企画室広報班
冨松 美沙
贰-尘补颈濒:辫谤辞-补诲尘*颈尘谤.迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)
罢贰尝:022-215-2144
〇金属材料研究所全国共同利用共同研究に関すること
东北大学金属材料研究所 研究協力係
贰-尘补颈濒:颈尘谤-办别苍办测辞*颈尘谤.迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)
罢贰尝:022-215-2677