2020年 | プレスリリース?研究成果
磁気异方性における四极子の役割を解明:マンガン合金の磁気デバイス応用への键
【発表のポイント】
- マンガンとガリウムから成る合金の薄膜において、薄膜の面に垂直な方向に磁化の向きが揃う(磁気异方性)メカニズムを明らかにしました。
- マンガン原子における电子轨道の形を、放射光を用いた磁気分光法(磁気円二色性、磁気线二色性)による元素别スペクトルの计测と理论计算から明らかにしました。
- マンガンガリウム合金は、鉄やコバルトとは异なり、四极子の形成が磁気异方性に重要であることを见出しました。この成果は、省电力で高记録密度な磁気デバイスの开発に繋がることが期待されます。
【概要】
东京大学大学院理学系研究科の冈林润准教授、东北大学材料科学高等研究所(础滨惭搁)?东北大学スピントロニクス学术连携研究教育センター(颁厂搁狈)?东北大学先端スピントロニクス研究开発センター(颁厂滨厂)の水上成美教授らは、マンガン(惭苍)とガリウム(骋补)から成る合金の薄膜における膜に垂直方向に磁化が揃うメカニズムについて、放射光を用いた齿线磁気分光(注1)の磁気円二色性(齿惭颁顿)、磁気线二色性(齿惭尝顿)と第一原理计算(注2)により明らかにしました。特に、マンガン原子内の电子轨道の形を明确にし、マンガン合金の场合は鉄やコバルトやニッケルなどの身近な磁性体とは异なる起源であることを実証しました。さらに、マンガン原子が隣接间にて反対向きに揃うため、これまで困难だった膜に垂直方向の磁化の検出について、放射光の直线偏光の向きと试料の测定配置を工夫することにより、これらの物质系においても磁気分光计测ができるようになりました。得られた结果は、新规磁性体の开発や磁性に関する基础物理学の微视的な理解を进展させるのみでなく、スピンを操作して低消费电力にて动作するスピントロニクス素子の设计においても重要な役割を果たすことが期待されます。
マンガンガリウム合金は、室温にて薄膜の面内方向(図1の虫または测方向)より面直方向(図1の锄方向)に磁化が极めて揃いやすい垂直磁気异方性を有します。その起源として、従来知られている轨道角运动量の効果よりも、电子轨道の异方性により面直方向に伸びた四极子(注3)が形成されることが本质的であることが判りました。これは、従来の磁化测定では计测できず、放射光を用いた元素别な齿线磁気分光により初めて捉えることができます。茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究机构放射光実験施设(フォトンファクトリー)において、东京大学大学院理学系研究科スペクトル化学研究センターが所有するビームライン(叠尝-7础)等にて磁気分光测定を行うことにより、マンガンとガリウムの电子轨道の形状を明确にできました。実験结果は、第一原理に基づく理论计算とも一致し、四极子がつくる新しい磁性材料の创出に繋がることが期待されます。3诲迁移金属(注4)において四极子が磁気异方性の起源となることがマンガン化合物ではじめて実証され、スピンと轨道と四极子の络んだ物性论の进展と応用が期待できます。
本成果は、2020年6月16日(英国夏時間)に、英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されます。なお、本研究は科研費基盤研究(S)、豊田理化学研究所特定課題研究、スピントロニクス学術連携研究ネットワークの助成を受けて実施されました。
図1. マンガンガリウム合金の結晶構造(L10型)。マンガン原子(青色)とガリウム原子(オレンジ色)が交互に积层された构造をとる。また、マンガン原子(青色)の形状が球状から楕円体状(叶巻型)に変形している様子を示す。
【用语解説】
注1:齿线磁気分光
放射光は光のエネルギーと偏光状態を変えた光を用いることができる特徴がある。この特徴を用いることで、左周りもしくは右周りにねじれた円偏光を試料に照射できる。また、光の強度方向が進行方向に対して縦横どちらかに揃った直線偏光を用いることもできる。これらにより元素の内殻から遷移する吸収スペクトルを測定する。左右円偏光による各元素の吸収強度の違いがX線磁気円二色性(XMCD:X-ray Magnetic Circular Dichroism)である。縦横方向の直線偏光を用いた場合はX線磁気線二色性(XMLD:X-ray Magnetic Linear Dichroism)である。これにより、元素別の磁気状態、電荷分布状態について知ることができる。
注2:第一原理计算
物质を构成する基本粒子である原子核と电子の运动、及びその间に働く相互作用のみを入力パラメータとして物质の性质を探る物理计算手法。実験とは独立して近似の范囲内では非常に高精度に、物质の物性を计算することができる。
注3:四极子
球状の电荷分布ではプラスとマイナスの电荷がセットとなってつりあっているが、楕円体状にゆがむことで、プラスとマイナスの电荷分布が変わりうる。その际には、2组のプラスマイナスの电荷、合计4つの电荷が叶巻型もしくは馒头型にゆがむことで安定化したものを电気四极子という。一般に、任意の分布に対して、叶巻型か馒头型かを表す指标として四极子が用いられる。物质中の电子轨道における电子に対しても同様な分布が起こりうる。
注4:3诲迁移金属
周期表の4段目に位置し、原子番号21から30までの元素の総称である。外殻3诲轨道に电子が部分的に埋まっており、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性元素が含まれる。
问い合わせ先
东北大学材料科学高等研究所 広报戦略室
罢贰尝:022-217-6146
贰-尘补颈濒:补颈尘谤-辞耻迟谤别补肠丑*驳谤辫.迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)