2020年 | プレスリリース?研究成果
シロイヌナズナが自殖へと進化した仕組みを解明 花粉遺伝子に生じた二重変異のシナジー効果による二段階での制御メカニズム
【発表のポイント】
- 遗伝的多様性を维持する仕组みとして、植物は他殖性を発展させてきた。
- シロイヌナズナの他殖性から自殖性への进化は、自家不和合性を制御する花粉遗伝子SCRに生じた逆位と転写量低下を引き起こす変异の両方が原因。
- 高等植物の自殖と他殖を自由に制御できる可能性を开いた。
- アブラナ科野菜の効率的な品种改良への応用が期待される。
【概要】
植物の生殖过程には自己?非自己の花粉を认识することで子孙を残すべき花粉を选别する「自家不和合性*1」という仕组みがあります。シロイヌナズナは进化の过程でこの自家不和合性を失い、自身の花粉で子孙を残す「自家和合性」の种(しゅ)へと変化してきましたが、その详细な进化の道筋は不明でした。
东北大学大学院生命科学研究科の渡辺正夫教授らの研究グループは、叁重大学、テキサス工科大学、明治大学、东京大学、チューリッヒ大学、横浜市立大学、大阪教育大学との共同研究により、植物研究のモデル生物であるシロイヌナズナが自身の花粉で子孙(种子)を残す「自殖」へと进化した原因が花粉で机能するたった1个のSCR*2遗伝子の2种类の変异にあり、ゲノム情报と転写の二段阶による変异のシナジー効果*3で制御されていることを明らかにしました。
本成果は、2020年9月11日、スイス科学誌「Frontiers in Plant Science」(电子版)に掲载されました。本研究は文部科学省科学研究费补助金、日本学术振兴会科学研究费、スイス科学基金の支援を受けて行われました。
図. シロイヌナズナの自殖への進化モデル図
アブラナ科共通祖先种は自家不和合性を有しており、そこから分岐したハクサンハタザオ(A. halleri)は现在においてもそれを受け継ぎ维持している(図左侧)。それに対して、シロイヌナズナ(A. thaliana)は、进化の过程において厂颁搁タンパク质をコードするエキソン领域と転写の制御领域にそれぞれ変异が生じ、自家不和合性を失い自殖性になったと考えられる(図右侧)。
【用语解説】
*1 自家不和合性:近亲の交雑を続けることによる个体の弱体化を防ぎ、集団の均一化を避けるための机构。雌雄が正常であるにもかかわらず、自己の花粉を认识?拒絶することで、受精には至らない现象。アブラナ科植物では、自己认识を司る因子が♀侧?♂侧ともに明らかになっており、それぞれ、受容体型キナーゼ?リガンドタンパク质からなる。これらは、个体ごとに构造の异なる多型性を有しており、♀侧因子(受容体型キナーゼ)と♂侧因子(リガンドタンパク质)が同一个体由来であった场合には、互いに结合することで、めしべ细胞内に自己花粉拒絶のシグナルを伝えることができる。逆に♀侧因子と♂侧因子が异なる场合には、これらが结合できないために、受粉?受精が正常に行われ、种子を作ることができる。
*2 厂颁搁:アブラナ科自家不和合性の♂侧原因タンパク质。花粉表面に付着した小型のタンパク质で、受容体である♀侧原因タンパク质厂搁碍と结合する。厂笔11とも呼ばれる。
*3 シナジー効果:自家和合性に変异する过程において、SCR遗伝子の「エキソン2领域の逆位」と「転写を司る制御领域」が、相乗的に机能することで、自家和合性形质を安定させている。このSCR遗伝子で起きた2つの変异で生じる効果をシナジー効果と呼んでいる。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学大学院生命科学研究科
担当 渡辺 正夫 (わたなべ まさお)
電話番号: 022-217-5681
Eメール: nabe*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)