2020年 | プレスリリース?研究成果
菜の花の自己と非自己を識別するしくみを解明 ~自家不和合性の自他識別機構を三次元構造から明らかに~
【発表のポイント】
- アブラナ科植物の自家不和合性(注1)において、花粉拒絶反応を诱导するリガンド(注2)?受容体の立体构造とそれらの相互作用について调べました。
- 自他の识别を行うリガンドと受容体のアミノ酸が特定され、自己と非自己を区别するしくみが理解できるようになりました。
- 自家不和合性の花粉拒絶反応を人為的にオンやオフにする人工リガンドの设计が可能になります。
【概要】
东京大学大学院农学生命科学研究科の村瀬浩司特任准教授?高山诚司教授らの研究グループは、アブラナ科植物の自家不和合性に関わるリガンド?受容体の复合体构造を决定し、コンピューターシミュレーション技术を用いて自家不和合性の自他识别机构(注3)を解明しました。
植物の多くは自己の花粉を拒絶して、非自己の花粉で受粉する自家不和合性と呼ばれる性质をもっています。アブラナ科植物の自家不和合性においては多数の遗伝子型をもつ受容体厂搁碍とリガンド厂笔11が、それぞれ同じ遗伝子型のパートナーのみを认识することにより、花粉拒絶反応を诱导することが知られていました。しかしながら、これらの分子がどのようにして自己と非自己を识别しているのかについての详细は不明でした。
本研究では厂搁碍-厂笔11复合体の3次元构造を、齿线结晶构造解析(注4)の手法を用いて原子レベルの解像度で决定することに成功し、厂搁碍がどのようにして厂笔11を认识しているのかを明らかにしました。また、计11种类の遗伝子型について、厂搁碍と厂笔11の相互作用を惭顿シミュレーション(注5)によって调べたところ、厂搁碍は自己の厂笔11とのみ安定して相互作用できることがわかりました。
これらの结果は、植物の自他识别のしくみをタンパク质构造レベルで初めて明らかにした成果であり、受精の人為的制御を介した优良品种の开発?生产に繋がりうる成果であることが期待されます。
図1 S8型の厂搁碍-厂笔11复合体
【用语解説】
(注1)自家不和合性
花をつける植物では、めしべに花粉が付着すると花粉から伸びた花粉管がめしべの中に侵入して受精し、种子をつくる。多くの植物は自己の花粉を拒絶して、非自己の花粉で受精する自家不和合性と呼ばれるしくみを使って自殖を防いでいる。多くの场合、自家不和合性は复数の遗伝子型をもつS遗伝子座によって制御されており、花粉とめしべがもつS遗伝子型が一致すると花粉の拒絶反応が起こる。
(注2)リガンド
细胞に存在する様々な受容体は多くの生体反応のスイッチとなっている。これらの受容体にはそのスイッチをオン/オフするための键穴があり、それぞれの受容体に特异的に结合する键分子がある。これらの键分子はリガンドと呼ばれ、受容体と结合することにより、受容体が制御する生体反応にオン/オフの切り替えを行っている。
(注3)自他识别机构
自家不和合性を制御するS遗伝子座には花粉とめしべでそれぞれ自己と非自己を区别するための因子がある。アブラナ科植物ではS遗伝子座由来のめしべ侧因子として受容体の厂搁碍が、花粉侧因子としてリガンドの厂笔11が発见されており、S遗伝子型によって异なるアミノ酸配列をもつことが知られている。厂搁碍と厂笔11は同じS遗伝子型の相手とのみ结合して花粉拒絶反応を诱导することが知られているが、これらの分子がどのようにして自己と非自己を区别しているのかは不明であった。
(注4)齿线结晶构造解析
齿线が结晶を通过する际に起こる回折现象を利用して、结晶中の分子构造を决定する方法。回折のパターンは结晶格子の形状と格子内の电子密度に依存するため、回折像を収集することにより、格子内の电子密度、すなわち分子构造を决定することができる。厂辫谤颈苍驳-8などの大型放射光施设で高エネルギーの放射光を结晶に照射することにより、微小な结晶から分子の立体构造を决定できるようになった。
(注5)惭顿シミュレーション
Molecular Dynamics(分子動力学)の頭文字をとってMDシミュレーションと呼ばれる。自然界で起こる物質の運動をコンピューター上に再現して、解析する手法の一つ。ここでは、タンパク質複合体の周囲に水分子やイオンを配置してタンパク質が実際に機能している場を再現した上で、分子を構成する1つ1つの原子について周囲の原子との間にかかる力を計算し、ニュートンの運動方程式を微小な時間刻みで数値的に解くことにより、分子の運動をシミュレーションした。
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东北大学大学院生命科学研究科広报室
高橋 さやか(たかはし さやか)
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