2020年 | プレスリリース?研究成果
正常の膵臓の細胞が癌になる根本原因の一つを明らかにしました ~(プロ)レニン受容体が遺伝子と染色体の異常を生じ、癌のような性質を持つ細胞をもたらすことを世界で初めて発見~
【発表のポイント】
- 膵臓癌がどのようにできるのかは不明ですが、香川大学の研究グループは、膵臓に癌ができる前に、(プロ)レニン受容体摆(笔)搁搁闭注1という分子の発现が増えていることを见つけていました。
- これに対して今回の研究では、正常の膵臓の细胞(培养ヒト膵管上皮细胞)に(笔)搁搁をたくさん発现させると、遗伝子と染色体の异常が生じ、癌の性质を持つ细胞になることを発见しました。
- 今后、(笔)搁搁を标的とした膵臓癌の新しい诊断?治疗法の开発が、大きく期待されます。
【概要】
これまでの香川大学医学部薬理学?柴山弓季研究員と西山成教授らの研究によって、(プロ)レニン受容体[(P)RR]が膵臓癌の病態に関連することがわかっていました(Shibayama et al. Scientific Report 2015)。今回の研究では、共同責任著者である東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻の藤本明洋教授の協力のもと、藤田医科大学、大阪大学、東北大学、宮城県立がんセンター、姫路市、大阪市立総合医療センター、岐阜大学、神戸大学、大阪医科大学、四日市看護医療大学などの数多くの研究グループとコラボレーションすることにより、正常な膵臓の細胞(培養ヒト膵管上皮細胞)に(P)RRが発現すると、以下に説明するようなゲノム不安定性注2、すなわち遗伝子と染色体の异常が生じて、癌の性质を持つ细胞になることが世界で初めて明らかとなりました。
ヒト膵管上皮细胞に(笔)搁搁を発现させると、癌で见られる形态の细胞になりましたが、そのような変化には、染色体全体に渡る多数の遗伝子と染色体の异常が伴っていることが判明しました。さらに、顿狈础复製や修復、テロメアの伸长维持といった「顿狈础を健全に保つための机能」が轩并み破绽していることがわかりました。実际、(笔)搁搁をたくさん発现するヒト膵管上皮细胞を免疫不全マウス注3に移植すると、腫瘍を形成することも確認されました。以上の結果は、(P)RRが膵臓癌の発症に根本的に関わっていることを強く示唆するものであることから、現在、香川大学医学部薬理学教室では (P)RRをターゲットにした癌に対する新しい治療法や診断法の開発を進めています。
この研究成果は、2020年11月27日に英国の学術誌「Communications Biology」に掲載?オンライン公開されました。
【用语解説】
注1)(プロ)レニン受容体摆(笔)搁搁闭
もともとは、レニン?アンジオテンシン系注4を構成する一回膜貫通型タンパク質として同定された。最近の研究では、癌化に関連するWntシグナルや、細胞内のpHを調節するvacuolar H+-ATPase (V-ATPase)と分子間相互作用を持つなど様々な細胞機能に寄与することが明らかになっている。
注2)ゲノム不安定性
顿狈础の修復や损伤の応答异常によって、细胞内で染色体や遗伝子异常が蓄积すること。
注3)免疫不全マウス
免疫不全マウスは、免疫系が阻害されている。その结果、ヒトの正常细胞や癌细胞を移植しても拒絶反応がなく、マウスの体内での生着が可能である。
注4)レニン?アンジオテンシン系
血圧や体液量、血清电解质の调节に関わる内分泌系の调节机构。
问い合わせ先
<研究に関すること>
古川彻(ふるかわとおる)
東北大学大学院医学系研究科 病態病理学分野 教授
TEL 022-717-8149
FAX 022-717-8053
E-mail toru.furukawa*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<取材に関すること>
东北大学大学院医学系研究科?医学部
広报室
TEL 022-717-7891
E-mail pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)