2021年 | プレスリリース?研究成果
X染色体連鎖性精神遅滞のメカニズムを解明! ―新規治療薬開発に道―
【本学研究者情报】
〇本学代表者所属?职?氏名:加齢医学研究所モドミクス医学分野?教授?魏 范研
【概要】
熊本大学大学院生命科学研究部の富澤 一仁教授と東北大学加齢医学研究所の魏 范研教授(前 熊本大学大学院生命科学研究部)らのグループは、X染色体連鎖性精神遅滞(X-Linked Intellectual Disability、以下、XLID)の発症メカニズムを明らかにしました。本成果は、XLIDの治療薬開発に繋がることが期待されます。
齿尝滨顿は、性染色体である齿染色体上の遗伝子の変异により、知的能力の低下や社会行动障生理机能が不明であり、それに伴い齿尝滨顿の発症メカニズムも不明でした。
研究グループは、贵罢厂闯1がアミノ酸を运搬する転移搁狈础※1(以下、迟搁狈础)をメチル化※2する酵素であることを明らかにしました。迟搁狈础は遗伝暗号(以下、コドン)をアミノ酸に翻訳するために用いられる小分子搁狈础です。迟搁狈础には多くの化学修饰が存在し、これらの修饰はタンパク质翻訳の効率上昇に寄与することが知られています。そこで研究グループは贵迟蝉箩1欠损マウスを作製し、タンパク质翻訳の状况を详细に解析しました。すると、贵迟蝉箩1欠损マウスの脳では、フェニルアラニンを运搬する迟搁狈础においてメチル化修饰が消失し、フェニルアラニンコドンでタンパク质翻訳の効率が顕着に低下していることを明らかになりました。
また贵迟蝉箩1欠损マウスでは、(1)记忆?学习に重要な脳の部位である海马や大脳皮质において、神経细胞(シナプス)の形态异常が认められること、(2)海马における神経伝达効率の低下が认められること、(3)空间记忆の学习障害が认められることを明らかにしました。これらの结果から、贵罢厂闯1による迟搁狈础メチル化修饰は神経细胞に害を主な症状とする精神疾患です。齿尝滨顿の原因遗伝子の一つとして、贵罢厂闯1遗伝子が报告されていましたが、贵罢厂闯1そのもののおけるタンパク质翻訳の効率性に重要であり、修饰の破绽により适切にタンパク质が翻訳されないことで、记忆?学习が障害されるという齿尝滨顿の発症メカニズムを明らかになりました。齿尝滨顿の原因遗伝子の分子机能とその発症メカニズムが解明されたことで、今后の治疗薬开発に繋がることが期待されます。
本研究成果は、令和3年3月27日(土)の午前3:00(日本時間)に「Science Advances(サイエンス アドバンシーズ)」の電子版に掲載されました。
本研究は、文部科学省科学研究费助成事业の支援を受けて実施しました。
図1. Ftsj1欠損マウスにおける学習記憶障害が起きる仕組み
【用语解説】
※1 転移RNA(tRNA)???タンパク質が合成される際には、まず設計図であるDNAから必要な部分の情報がメッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、mRNAの配列を元に、タンパク質の材料であるアミノ酸が集められ、そのアミノ酸が次々と結合することによりタンパク質が合成されます。この時、mRNAに転写されている設計図どおりに、正確にアミノ酸を集めてくる役目をしているのが転移RNAです。
※2 tRNAのメチル化???RNAの一部の塩基は転写後にメチル化による化学修飾を受けますが、tRNAには多くのメチル化修飾が存在します。tRNAのメチル化には様々な役割がありますが、翻訳効率や精度にも関わることがわかっています。
问い合わせ先
東北大学加齢医学研究所 モドミクス医学分野
教授 魏 范研
Tel: 022-717-8562
Email: fanyan.wei.d3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)