2022年 | プレスリリース?研究成果
金属ガラスのチャンピオン-最大サイズの金属ガラスの原子配列の秘密
【本学研究者情报】
〇金属材料研究所 教授 加藤秀実
【発表のポイント】
- 现在最も大きなバルク(块)状を形成できる金属ガラス注1Pd42.5Ni7.5Cu30P20の原子の并び方に、ガラスになりやすい不均质性を示す多くの特徴を见出しました。
- 実験はフランスにある放射光施设や中性子源を用いて、日仏独英の共同で行いました。
- 得られた実験结果の解析は、日本とハンガリーで开発した最新のアルゴリズムを用いました。
【概要】
熊本大学の细川伸也特任教授およびラスロー?プスタイ卓越教授(ハンガリー科学院より併任)は、フランス?国立科学研究センター(颁狈搁厂)、ドイツ?マールブルク大学、高辉度光科学研究センター(闯础厂搁滨)、物质?材料研究机构(狈滨惭厂)、东北大学金属材料研究所、フランス?ラウエ?ランジュバン研究所(滨尝尝)およびイギリス?バース大学の研究者と协力して、放射光齿线を利用した齿线异常散乱実験注2および强力中性子源を用いた中性子回折実験注3を行うことにより、现在8肠尘を超える最も大きなバルク状を形成することができるパラジウム(笔诲)?ニッケル(狈颈)?铜(颁耻)?リン(笔)系金属ガラス笔诲42.5Ni7.5Cu30P20(笔狈颁笔)の原子の并び方の特徴を捉えることに成功しました。これには、逆モンテ?カルロ法注4、ボロノイ解析注5およびパーシステント?ホモロジー法注6などの最近のデータ解析に用いるさまざまな手法が利用されています。
この研究により、なぜ金属原子が结晶として整列せず、ランダムに并ぶガラスとなり得るのかという、これまであいまいであった特徴をあぶり出すことができました。また、この研究成果は、これまで経験的にしか语られることがなかった、ガラス形成能(ガラスになりやすさ)に一定の指针を与えることができ、今后の金属ガラス材料の新规材料开発に新たな指针を与えるものとして期待されます。
本研究は文部科学省科学研究費補助金?学術変革領域研究(A)「超秩序構造科学」および基盤研究(C)、科学技術振興機構CREST、东北大学金属材料研究所全国共同利用共同研究の支援を受けて実施されたもので、オランダの科学出版大手エルゼビアの非晶質固体専門誌「Journal of Non-Crystalline Solids」に令和4年8月25日に掲載されました。
図1 得られたPd42.5Ni7.5Cu30P20金属ガラスの3次元原子配列
【用语解説】
注1. 金属ガラス
ある种の合金の液体を急速に冷却すると、液体のランダムな原子配列がそのまま冻结されてガラス状态を作り、金属ガラスになります。当初は、水冷した铜の回転ドラムに液体金属を吹き付けるなど、薄いリボン状のものしか作製できず、その応用范囲は限られていました。しかしながら、笔诲40Ni40P20の登场により、液体金属を水に浸ける程度でバルク状の金属ガラスを作製でき、硬くて磨耗しない小さな金属部品を金属加工ではなく鋳造で作製できるなど応用が広がっていきました。ガラス形成能の良い金属ガラスを用いることにより、よりゆっくりと金属部品が作製できるようになり、より复雑な形状のものを作ることができるようになります。
注2. 齿线异常散乱実験
通常の齿线回折では、用いる齿线のエネルギーを変えても全く新しい情报は得られません。ところがある构成元素に関係する齿线の吸収端、すなわち最も强い引力で原子核と结びついている1蝉电子を外部に叩き出すエネルギーの近くに用いる齿线のエネルギーを定めると、その元素からの齿线の散乱が数%弱くなる异常(异常分散効果)があることが知られています。その结果、目标の元素にのみ限定された散乱情报のコントラストを得ることができます。これを利用した実験法を齿线异常散乱と呼びます。
注3. 中性子回折実験
齿线と同じように中性子を用いても、原子配列についての情报を得られます。この研究に中性子を用いた最も大きな理由は、齿线とは散乱のメカニズムが异なり、笔元素からの散乱の寄与が、他の元素と同じくらい大きいためです。齿线は电子によって散乱されますので、电子の数が少ない(軽元素である)笔元素の寄与は非常に小さいのですが、中性子はそれを补填してくれます。さらには、散乱の强さ、すなわち散乱断面积も齿线とは异なりますので、元素别の原子配列の情报が増します。
注4. 逆モンテ?カルロ法
通常は実験データにフーリエ変换と呼ばれる数学的な解析を行って原子配列を求めますが、この手法では逆に原子配列をあるモデルとして立ててから実験データを再现しようとする「逆问题」の立场で解析を行います。原子の位置を少しずつ変化させ、実験データにより合うときは採用、合わないときも一定の割合で採用するという、メトロポリスのアルゴリズムを使って、モデル原子配列が実験データをより再现するまで繰り返しを行います。
注5. ボロノイ解析
中心原子のまわりに隣の原子がどのように配置しているかを判定する手段です。具体的には、隣の原子との間の結合線の二等分面を全ての隣り合った原子との間に取れば、隣接原子数と同じ数だけの多角形の面を持つ多面体(ボロノイ多面体)を作ることができ、その内部をその原子の領分とすることができます。そのときの表面の多角形の数を3、4、5、6、7角形の順に書いたものをボロノイ指数と呼びます。例えば多くの金属の結晶構造は面心立方晶あるいは最密充填六方晶ですが、いずれも12個の4角形でできていますので(0 12 0 0 0)、先に述べた正20面体構造では12個の5角形でできていますので(0 0 12 0 0)と書くことができ、それによって隣接原子の配位と特徴を明らかにすることができます。
注6. パーシステント?ホモロジー法
あるものの配置を抽出するトポロジー(位相几何学あるいは形の科学)解析の一つです。例えば、図4左のように原子が配列していたとします。その半径の大きさを段々と大きくしていきますと、あるところで図3中のように右下に小さなリングが现れます。これを生成(诞生)と呼びます。さらに半径の大きさを大きくしますと、図4右のように右下の小さなリングが消灭(死亡)しますが、新たに大きなリングが生成されています。このとき、横轴に诞生した瞬间の半径の大きさ、縦轴に死亡した瞬间の半径の大きさをヒストグラム(パーシステント?ダイヤグラム)として図形化すると、より大きな距离范囲での原子の并び方に特徴が现れます。この手法は、ある元素が存在しない距离を数学的に导くことができますので、各元素の不均质性を判断する重要な指标となります。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学金属材料研究所
教授 加藤 秀実
电话 022-215-2110
贰-尘补颈濒 hidemi.kato.b7*tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学金属材料研究所
情报企画室広报班
电话 022-215-2144
贰-尘补颈濒 press.imr*grp.tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)
(共同利用共同研究に関すること)
东北大学金属材料研究所
研究协力係
电话 022-215-2677
贰-尘补颈濒 imr-kenkyo*grp.tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)

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