2023年 | プレスリリース?研究成果
見落とされていた海馬腹側部の神経回路を発見 ~30年来信じられてきた記憶回路の構造を見直す~
【本学研究者情报】
〇生命科学研究科 助教 大原慎也
【発表のポイント】
- 记忆を司る脳领域において、见落とされていた神経回路を発见しました。
- 情动を伴う记忆情报を処理する「海马腹侧部*1」が、记忆の长期保存に重要な「内侧嗅内皮质痴补层*2」に直接情报を伝えていることを明らかにしました。
- 私たちが嬉しい出来事や悲しい出来事をどのようにして记忆しているのか、そのメカニズムの解明への寄与が期待されます。
【概要】
記憶がどのように形成されているのか理解する上で、記憶を司る脳領域の神経回路がどのように構成されているのか知ることは大変重要です。东北大学大学院生命科学研究科の大原慎也助教らは、ノルウェー科学技術大学のMenno Witter教授、及びハイデルベルク大学のAlexei Egorov博士らのグループと共に、記憶に深く関わる「海馬」と「内側嗅内皮質」の神経回路の構造を齧歯類(ラット?マウス)において調べました。この記憶回路として古くから研究されており、その構造は海馬の腹側部と背側部で類似していると長らく信じられてきました。しかし本研究により、海馬の腹側部が背側部とは異なる回路を構成し、内側嗅内皮質Va層のニューロンに情報を伝えることが明らかになりました。
「海马腹侧部」は情动を伴う记忆に関わることが知られています。海马腹侧部は内侧嗅内皮质痴补层を介して记忆の最终保存场所である「大脳新皮质」と繋がっていることから、痴补层が情动情报を伝える神経回路として、长期记忆の形成に深く関与すると考えられます。本研究で明らかにした神経ネットワーク配线を基に、情动を伴う记忆の形成メカニズムの解明が进むことが期待されます。
本研究結果は、2023年1月20日のCell Report誌(電子版)に掲載されました。
図1(础)啮歯类の海马の模式図(左)とこれまでの解剖学的研究から示されていた海马-内侧嗅内皮质の神経回路の模式図(右)。海马の背侧部と腹侧部は内侧嗅内皮质の背侧部と腹侧部の痴层にそれぞれ情报を送り、その回路构成は背侧部と腹侧部で类似していると考えられてきた。(叠)神経回路标识法により标识された海马背侧部からの轴索*4(赤)と海马腹侧部からの轴索(シアン)を示す。海马背侧部からの轴索は内侧嗅内皮质の背侧部痴产层に分布する。一方、海马腹侧部からの轴索は内侧嗅内皮质の腹侧部だけでなく、背侧部の痴补层に分布する(叠"の黄矢印)。(颁)本研究で明らかになった神経回路(青)の模式図。内侧嗅内皮质から神経情报を発信する出力层である痴补层ニューロンは、海马腹侧部からの情报を主に受ける。この结果から、海马腹侧部は海马から大脳新皮质への情报伝达の制御に深く関与すると考えられる。
【用语解説】
*1 海馬腹側部:
记忆の中枢である「海马」は细长い形をした脳领域で、啮歯类(ラット、マウス)では背腹轴に沿って展开しています。海马の働きは腹侧部と背侧部で异なり、「海马の腹侧部」は情动を伴う记忆に强く関与する一方、「海马の背侧部」は空间的な记忆に関わることが知られています。
*2 内側嗅内皮質Va層:
内侧嗅内皮质は、海马と他の脳领域を繋ぐ中継领域であり、海马と共に记忆とナビゲーションに深く関わります。この脳领域は、ニューロンが规则正しく整列した层构造から形成されており、层ごとに异なる神経回路を形成することで异なる情报処理を行なっています。内侧嗅内皮质痴补层には、记忆の最终保存场所である「大脳新皮质」に情报を伝えるニューロンが分布しており、长期记忆形成に重要な役割を担うことが报告されています。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学大学院生命科学研究科
助教 大原 慎也 (おおはら しんや)
电话 022-217-5052
贰-尘补颈濒 蝉丑颈苍测补.辞丑补谤补.诲3*迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫
(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
电话 022-217-6193
贰-尘补颈濒 lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)