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X線自由電子レーザーで捉えたビフィズス菌酵素の常温構造 -局所的な構造変化から示唆された酵素反応メカニズム-

【本学研究者情报】

〇多元物质科学研究所
教授 南后恵理子

【概要】

理化学研究所(理研)放射光科学研究センター利用技術開拓研究部門SACLA利用技術開拓グループの岩田想グループディレクター(京都大学大学院医学研究科教授)、分子動画研究チームの南後恵理子チームリーダー(東北大学多元物质科学研究所教授)、高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室先端光源利用研究グループ実験技術開発チームの登野健介チームリーダーらの共同研究グループは、ビフィズス菌の解糖系[1]酵素の立体构造を常温下で决定し、その酵素の反応メカニズムに関する新たな知见を见いだしました。

本研究成果は、生理的环境下に近いタンパク质构造を取得することで、酵素反応メカニズムの解明に有用な情报が増える可能性を示しており、各种酵素の高机能化设计などを通して、酵素の产业利用の高度化に贡献すると期待できます。

 今回、共同研究グループは、齿线自由电子レーザー(齿贵贰尝)[2]施设「厂础颁尝础」[3]において连続フェムト秒结晶构造解析(厂贵齿)法[4]により、ビフィズス菌の解糖系酵素の一つであるホスホケトラーゼ[5]の常温构造解析に成功しました。その结果、ホスホケトラーゼの活性部位の入り口に位置する小さなループ状构造が、従来の极低温构造とは异なっていることを発见しました。同时に実施した阻害剤との复合体构造の特徴も踏まえた考察により、ホスホケトラーゼの反応メカニズムに関する新たな知见を得ることができました。解析に必要なホスホケトラーゼの微小结晶は光诱起タンパク质结晶化プレート[6]を用いて取得し、この结晶化法が厂础颁尝础での构造解析の効率化に有効であることも分かりました。

 本研究は厂础颁尝础产学连携プログラムにて行われ、科学雑誌『Acta Crystallographica Section D』オンライン版(3月28日付)に掲载されました。

构造変化が観测された蚕狈ループ构造(常温构造はオレンジ色、极低温构造は水色で示す)

【用语解説】

[1] 解糖系
グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解する代謝経路。最も基本的な代謝系の一つ。エムデン-マイヤーホフ経路は最も一般的な解糖系として知られており、ほとんどの真核生物や嫌気性細菌ではこの経路が用いられている。ホスホケトラーゼは、乳酸菌、酵母、カビなど一部の微生物に存在する特殊な解糖系であるビフィドシャント(bifid shunt)で中心的な役割を担う酵素である。

[2] X線自由電子レーザー(XFEL)
X線領域におけるレーザーのこと。従来の半導体や気体を発振媒体とするレーザーとは異なり、真空中を高速で移動する電子ビームを媒体とするため、原理的な波長の制限はない。また、数フェムト秒(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)の超短パルスを出力する。XFELはX-ray Free Electron Laserの略。

[3] 「SACLA」
理研と高輝度光科学研究センターが共同で建設した日本で初めてのXFEL施設。2011年3月に施設が完成し、SPring-8 Angstrom Compact free electron LAserの頭文字を取ってSACLAと命名された。コンパクトな施設の規模にもかかわらず、0.1nm以下という世界最短波長クラスのレーザーの生成能力を持つ。

[4] 連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)法
多数の微结晶を含む液体などをインジェクター(试料输送装置)から喷出しながら、齿线レーザーを照射し结晶の构造を解析する手法。配向の异なる多数の微结晶からの回折イメージを連続的に収集する。SFXはSerial Femtosecond Crystallographyの略。

[5] ホスホケトラーゼ
チアミン二リン酸(罢笔笔)を补酵素とする酵素群の一种。キシルロース5-リン酸(またはフルクトース6-リン酸)とリン酸からグリセルアルデヒド3-リン酸(またはエリスロース4-リン酸)と水とアセチルリン酸を生成する反応を触媒する酵素。

[6] 光誘起タンパク質結晶化プレート
ポケット部に金ナノ膜加工を施したタンパク質結晶化プレート。このプレートに光照射を行うと、金ナノ粒子に表面プラズモン共鳴が誘起され、金に吸着していたタンパク質分子の濃縮と配向が進行して、タンパク質結晶の核形成が促進され、結晶化期間の短縮が実現するとされている。群馬大学の奥津教授らにより開発され(Veesler, S., et al., & Okutsu, T. (2006). Cryst. Growth Des. 6, 1631-1635)、富士フイルム和光純薬株式会社(研究当時:和光純薬工業株式会社)から製品化された。

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问い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 多元物质科学研究所
教授 南后 恵理子(なんご えりこ)
TEL: 022-217-5344
E-mail: eriko.nango.c4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(报道に関すること)
東北大学 多元物质科学研究所 広報情報室
TEL: 022-217-5198
E-mail: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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