2023年 | プレスリリース?研究成果
軽石のナノスケール岩石学から福徳岡ノ場の新しい噴火モデルを提案 ~マグマの酸化が噴火の引き金に~
【本学研究者情报】
〇大学院理学研究科
准教授 奥村 聡
〇大学院环境科学研究科
教授 冈本 敦
【発表のポイント】
- 2021年の福徳冈ノ场の喷火に由来する軽石を透过电子顕微镜によりナノスケールで分析し、黒色の軽石を构成する火山ガラスの中に20nm(ナノメートル:10??m、以下nm)程度の磁鉄鉱、100nm程度の黒云母、300nm程度の単斜辉石のナノ粒子(ナノライト(※1))が晶出していることを明らかにした。
- 放射光分析(※2)により、ナノ粒子を含む黒色軽石部分は隣接する灰色軽石部分と比べて酸化されていることがわかった。この特徴は、酸化作用がナノ粒子形成を引き起こしたことを示唆する。
- これらの结果から、マグマ溜まりの内部で、水が付加されることによりマグマの酸化とナノ粒子の形成が起きることで、マグマの発泡を促して爆発的な喷火に繋がったという新しい喷火モデルが构筑された。
【概要】
国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和裕幸、以下「JAMSTEC」)海域地震火山部門 火山地球内部研究センター 固体地球データ科学研究グループの吉田健太副主任研究員らは、京都大学、東北大学、静岡大学、高エネルギー加速器研究機構と共同で、南西諸島(沖縄?鹿児島)に漂着した福徳岡ノ場由来の噴火噴出物(軽石)のナノスケール分析を行った結果、黒色軽石部分が10-20nm程度の磁鉄鉱、100nm程度の黒云母、300nm程度の単斜辉石のナノ粒子(ナノライト)を含んでいることを新たに見出しました。また、放射光分析によりガラス中の鉄の酸化還元状態を調べたところ、ナノ粒子を含む黒色軽石部分は、灰色軽石部分よりも鉄が酸化されていることが分かりました。これらの分析結果と熱力学的な解析により、2021年の喷火の际、火山のマグマ溜まり内では地下深くから上昇してきた玄武岩マグマから水が供给されることで福徳冈ノ场のマグマ溜まりの一部が酸化されてナノ粒子が生じ、形成されたナノ粒子がマグマの発泡を促したことで爆発的な喷火に至ったことを明らかにしました。ナノ粒子形成と火山喷火现象の関わりは近年盛んに研究されている话题ではありますが、今回ナノ粒子の鉱物种と形成条件を详しく调べることで、これまで通説であった过冷却によるナノ粒子形成モデルとは异なる、マグマ溜まり内部でのナノ粒子形成が爆発的喷火の要因となる新しい喷火モデルを提案しました。
本成果は、JSPS科研费JP19K14825、JP19H01999、JP20H00198、JP20H00205、JP 22K03755、JP18KK0376、JP19H00834、JP22H05109、JP21H01195の支援を受けて行われました。また高エネルギー加速器研究机构での共同利用课题番号2020G008、2021G634、2022S2-001の成果を一部利用しています。
本成果は、「Scientific Reports」に5月9日付け(日本时间)で掲载されました。
図1.(a) 详细分析を実施した軽石の断面写真。肉眼スケールでも灰色と黒の境界が明瞭に観察される。(b) 灰色と黒色の境界部分を拡大して顕微镜で観察したもの。光が透ける程度に薄くすると、光学観察では黒色軽石は茶色のガラス、灰色軽石は无色のガラスで出来ていることが分かる。(c) bの黒线で示した部分の断面を透过电子顕微镜を用いてナノスケールで観察した写真。黒色軽石の部分には10~300nmのナノ粒子がいるのが见られるが、灰色軽石の部分には粒子は见られない。また、その境界はナノスケールで见ても明瞭である。(d) cを更に拡大したもの。ナノ粒子は主に磁鉄鉱と黒云母からなる。
【用语解説】
※1 ナノライト
火山岩の中に晶出した1μm未満の结晶の総称
※2 放射光分析
シンクロトロン放射光を利用し、回折?吸光?蛍光などの原理にもとづいて物质の微细构造などの分析を行う方法。加速器からは、赤外からX线にわたる连続波长の高辉度で指向性の强いシンクロトロン放射光が取り出される。今回はその中でも放射光X线が物质に吸収される现象を用いた分析を実施した。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学大学院理学研究科
准教授 奥村聡
电话:022-795-7764
E-mail:satoshi.okumura.d2*tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)
東北大学大学院环境科学研究科
教授 冈本敦
电话:022-795-6334
E-mail:atsushi.okamoto.d4*tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院理学研究科
広报?アウトリーチ支援室
电话:022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)
東北大学大学院环境科学研究科
情报広报室
电话:022-752-2241
E-mail:kankyo.koho*grp.tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)