2023年 | プレスリリース?研究成果
特別な脂質過酸化プロセスに伴う新たな細胞死抑制機構を発見 神経変性疾患などの関連疾患の新規創薬に繋がる研究成果
【本学研究者情报】
〇大学院薬学研究科卫生化学分野
教授 松沢厚
【発表のポイント】
- アラキドン酸(注1)の过酸化が直接的な引き金となり、分子によって制御される细胞死(注2)フェロトーシス(注3)の新规抑制机构として、一部のアラキドン酸がトランスアラキドン酸(注4)に変换される非酵素反応を発见しました。
- アラキドン酸には、脂质过酸化(注5)およびフェロトーシスの促进能がある一方、トランスアラキドン酸にはいずれの促进作用も认められませんでした。
- 本研究成果は、神経変性疾患などの様々なフェロトーシス関连疾患の疾患発症机构の解明および新规创薬に繋がることが期待されます。
【概要】
フェロトーシスは分子によって制御される细胞死で、生体膜脂质(特にアラキドン酸)の鉄依存的な过酸化が引き金となり、炎症诱导性の壊死(注6)が引き起こされます。この细胞死は、神経変性疾患などの様々な疾患の発症?増悪に寄与することが知られていますが、その制御机构には不明な点が多く残されています。
东北大学大学院薬学研究科の平田祐介助教、松沢厚教授らの研究グループは、The Institute of Organic Synthesis and Photoreactivity-National Research Council (ISOF-CNR:イタリア?ボローニャ) のChryssostomos Chatgilialoglu教授らの研究グループとの国際共同研究により、脂質過酸化反応時に、一部のアラキドン酸がシス-トランス異性化反応(注7)によってトランスアラキドン酸に変换されることを発见しました。アラキドン酸の细胞への添加は、脂质过酸化およびフェロトーシスを促进した一方、トランスアラキドン酸の添加时には、そのような促进は起きませんでした。本机构は、フェロトーシスの抑制机构として重要な役割を果たしており、神経変性疾患やがんなどの関连疾患の発症机序の全容解明、および新规创薬に繋がる重要な基础的知见となります。
本研究の成果は、5月29日に国際科学雑誌Free Radical Biology and Medicineにオンライン上で掲載されました。
図. トランスアラキドン酸による新規フェロトーシス抑制機構
【用语解説】
注1. アラキドン酸
不饱和脂肪酸(シス脂肪酸)の一种で、カルボキシル基から数えて5、8、11、14番目の炭素に二重结合(全てシス型)が付加した、20个の炭素锁からなるカルボン酸。逆侧のメチル基末端から数えると、6番目の炭素に初めて二重结合が现れることから、ω-6脂肪酸に分类される。
注2. 分子によって制御される細胞死
多细胞生物において、様々な分子の制御下で引き起こされる细胞死のこと。约50年前に、アポトーシスと呼ばれる、自発的な非壊死性の细胞死が见つかって以降、非壊死性のパータナトス、そしてネクロプトーシス、ピロトーシス、フェロトーシスなどの壊死性の细胞死が次々と発见され、生体内の様々な分子によって、その翱狈/翱贵贵のスイッチや、强度、持続时间などが、厳密に制御されていることが分かってきた。
注3. フェロトーシス
2012年にBrent R. Stockwellらによって発見されたプログラム細胞死の一つ(Cell, 149(5), 1060-1072, 2012)。鉄依存的な過酸化脂質の蓄積に伴って、最終的に、細胞膜の破裂を伴う壊死が引き起こされる。当初、Ras変異を有するがん細胞を選択的に殺傷するための機構として発見された経緯もあり、鉄や活性酸素を特に豊富に含むがん細胞が、一般にフェロトーシスに高い感受性を示すことから、有力な新規がん治療戦略の1つとされ、その臨床応用が期待されている。また、神経変性疾患や虚血性疾患など、非常に多くの種類の疾患の病態発症?増悪に寄与することが報告されており、関連疾患の発症機序の解明、新規治療法開発の観点からも、大変着目されている。
注4. トランスアラキドン酸
アラキドン酸の5、8、11、14番目の二重结合のいずれか1箇所が、シス型からトランス型に异性化した构造を持つ脂肪酸。有机硫黄ラジカル(搁厂?)による异性化反応は非酵素反応であるため、异性化する位置の选択性は低く、4种类のトランス変换体が混合した状态になる。正式には、モノトランスアラキドン酸と呼称すべきだが、简単のため、先头の「モノ」を省略して记载している。
注5. 脂質過酸化
脂质が过剰な酸化を受ける反応のこと。フェロトーシスに関与する过酸化脂质は、その中でも、リン脂质中に含まれるアラキドン酸のような高度不饱和脂肪酸が过酸化されたものであると考えられている。
注6. 壊死
広义にはネクローシスと同义で使用されるが、ネクローシスは细胞内外の环境変化によって偶発的、受动的に起きる细胞死として定义されるため、细胞膜の破裂を伴わない自発的な细胞死であるアポトーシスと対极的な意味合いで使用されることが多い。今回本文で用いている壊死は、より狭义の、细胞が细胞膜の破裂を伴って死ぬことを示しており、フェロトーシスをはじめとしたいくつかの分子によって制御される细胞死では、壊死性の细胞死が起きることが知られている。
注7. シス-トランス異性化
シス型の二重结合が、トランス型に変换される反応のこと。非酵素的に起きる反応と、酵素が触媒して起きる反応の2种类があるが、今回脂质过酸化に伴って认められているのは、主に有机硫黄ラジカル(搁厂?)が担う非酵素的な异性化反応である。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学大学院薬学研究科
教授 松沢 厚
TEL: 022-795-6829
E-mail: atsushi.matsuzawa.c6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院薬学研究科?薬学部 総務係
TEL: 022-795-6801
E-mail: ph-som*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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