2023年 | プレスリリース?研究成果
宇宙の塵の塊の「跳ね返り」が衝突合体による微惑星形成を阻害する ―大きくなるとくっつきにくくなる粉状体の衝突挙動を発見―
【本学研究者情报】
〇大学院理学研究科天文学専攻
教授 田中 秀和(たなか ひでかず)
【発表のポイント】
- 2つの固体微粒子の块が衝突する数値シミュレーションを行い、构成粒子数が约1万粒子から14万粒子までの様々な大きさの块について、衝突后に2つの块がくっついて大きな块となる(以下、「衝突合体」という。)确率を调査した。
- 衝突させる微粒子の块の半径が大きくなるほど衝突合体する确率が低下することを数値シミュレーションによって世界で初めて発见した。
- 本研究で得られた知见は、固体微粒子の块である粉状体の衝突挙动という基础物理の理解を深めるものである。さらに、「惑星は宇宙の尘からどのように形成されたのか」という问いに対して、「惑星の种」である微惑星(※1)が宇宙の尘の衝突合体のみによって形成される可能性は低いことを示した。
【概要】
国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和 裕幸、以下「JAMSTEC」という。) 付加価値情報創生部門 数理科学?先端技術研究開発センターでは、地球?海洋?生命の理解のための大規模数値解析手法の開発を進めており、代表的な数値解析手法である粒子法では、10億粒子を超える計算を実現するなど、世界最先端レベルの研究開発を行っています。この研究開発の一環として、同センター 計算科学?工学グループの荒川 創太Young Research Fellowらは、国立天文台の「计算サーバ」(※2)を用い、惑星の材料物质である固体微粒子の块について、その衝突挙动を数値シミュレーションによって调べました。様々な大きさの块について数値シミュレーションを実施した结果、块が大きい场合に2つの块が衝突合体する确率が低下することを明らかにしました。
「惑星の种」である微惑星は、原始惑星系円盘(※3)において固体微粒子同士が付着による衝突合体を繰り返すことで形成されたと考えられています。しかし、どのような条件の下で2つの微粒子の块が衝突合体するのかという重要な问题が未解明のままでした。本研究の结果は、微粒子の块が大きくなるにつれて衝突合体しにくくなるため、微粒子同士の衝突合体による成长のみで微惑星を形成することは困难であることを示唆しています。これは惑星形成プロセスを理解する上で重要な知见となります。
本成果は、「The Astrophysical Journal Letters」に7月6日付け(日本時間)で掲載される予定です。なお、本研究は日本学術振興会科学研究費(JP22J00260, JP22KJ1292, JP18H05438)の助成を受けました。
図1 原始惑星系円盘中では、マイクロメートルサイズの固体微粒子が衝突合体によって巨视的な块へと成长し、さらに微惑星と呼ばれる惑星の种の状态を経て惑星へと进化する。微粒子の块から微惑星へと成长する段阶では、衝突合体成长によってそのまま大きくなるという仮説と、原始惑星系円盘中での自己重力による微惑星形成という仮説の2つの可能性がある。(クレジット:JAMSTEC)
【用语解説】
※1 微惑星
惑星を形成する材料となったキロメートルサイズの小天体。マイクロメートルサイズの固体微粒子から微惑星が形成され、その后、微惑星が相互重力による衝突合体を繰り返すことで惑星が形成された。
※2 计算サーバ
国立天文台天文シミュレーションプロジェクトが运用するコンピュータ?クラスタ。小规模?长时间の数値シミュレーションによる研究を支援する目的で运用され、総コア数2160で构成される(2023年7月现在)。
※3 原始惑星系円盘
若い恒星の周りに存在する、水素分子等のガスと固体微粒子を含む円盘状の构造。惑星が形成される现场であると考えられている。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学大学院理学研究科天文学専攻
教授 田中 秀和
电话:022-795-6504
E-mail:hidekazu*astr.tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院理学研究科
広报?アウトリーチ支援室
电话: 022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)