2023年 | プレスリリース?研究成果
超硫黄分子による心機能の制御メカニズムを解明 虚血性心疾患や難治性心不全などの診断?治療への応用に期待
【本学研究者情报】
〇大学院医学系研究科环境医学分野 教授 赤池孝章
【発表のポイント】
- 超硫黄分子(注1)が、心血管系の一酸化窒素(nitric oxide, NO)(注2)の制御因子であることを明らかにしました。
- 超硫黄分子が、NOを代謝する酵素であるADH5(alcohol dehydrogenase 5)(注3)の触媒活性を発揮していることを発見し?超硫黄触媒反応: Supersulfide Catalysis?と命名しました。
- 超硫黄触媒反応が、础顿贬5の活性制御を介して狈翱による心臓の机能を向上させることを明らかにしました。
- 超硫黄触媒反応による狈翱代谢制御を创薬などの医疗技术开発に展开することで、动脉硬化や心筋梗塞などの虚血性心疾患や难治性の心不全などの诊断?治疗?未病予防などに応用が可能です。
【概要】
狈翱は强力な血管拡张因子であり、また、脳の记忆を维持し、感染防御机能や干细胞の分化维持やがん细胞の悪性化などに関わることが広く知られています。狈翱と相互作用する分子の一つとして、多彩な生理机能を持つミラクル物质である超硫黄分子が知られていますが、その生理机能は不明のままでした。
东北大学大学院医学系研究科环境医学分野の赤池孝章教授、大阪公立大学の笠松真吾助教らの研究グループは、组换えタンパク质や细胞およびマウスを用いて、超硫黄分子が?超硫黄触媒反応?を介して础顿贬5による狈翱分解代谢活性を担っていることを発见しました(図1)。また、この狈翱分解代谢活性は、础顿贬5のホルムアルデヒド(注4)解毒反応と超硫黄反応が连动することで発挥されることを见い出しました。さらに、九州大学との共同研究により、础顿贬5の遗伝子改変マウスを用いて、超硫黄触媒反応を制御することで心臓の机能を向上させることができることを明らかにしました。今后、超硫黄触媒反応を创薬研究などに応用することで、虚血性心疾患や难治性心不全のみならず、感染症、生活习惯病、动脉硬化、糖尿病などの代谢性疾患、がんやアルツハイマー病などの神経変性疾患などの予防?治疗法の开発を目指します。
本研究成果は、2023年8月18日付けで国際学術誌Science Advancesに掲載されました。
図1. 超硫黄触媒反応によるNO代謝と心機能シグナル制御
础顿贬5は、亜铅(窜苍2+)配位タンパク质として、ホルムアルデヒド解毒代谢と一酸化窒素(狈翱)シグナル调节に関与しており、その活性中心のシステインにおいて超硫黄分子(厂苍)による全く新规の超硫黄触媒反応が狈翱代谢を制御していることが分かった。
【用语解説】
注1. 超硫黄(supersulfides):ポリスルフィド構造を分子内に有する硫黄代謝物の総称。硫黄原子が連結(カテネーション)したポリスルフィド構造により、求核性と親電子性を併せ持ち、多彩な生物活性を示す。
注2. 一酸化窒素(nitric oxide, NO):血管弛緩因子として発見され、1998年にノーベル生理医学賞が授与されたガス状生理活性物質である。血管内皮細胞や神経細胞や白血球?マクロファージやがん細胞などにより産生され、血管弛緩、心機能、記憶などの神経高次機能、感染防御、発がん?がん進展?悪性化などに関わっている。
注3. ADH5(alcohol dehydrogenase 5; アルコール脱水素酵素5):全ての生物種普遍的に保存された酵素であり、グルタチオンと超硫黄を使ってホルムアルデヒド(formaldehyde)の解毒とNOの代謝分解のふたつの反応を同時に行う。
注4. ホルムアルデヒド:シックハウス症候群の主要な環境毒性物質であるが、生体内でヒストンの脱メチル化反応に伴い生成するなど、内因性の代謝物でもある。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学大学院医学系研究科环境医学分野
教授 赤池 孝章(あかいけ たかあき)
TEL: 022-717-8164
E-mail: takaike*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院医学系研究科 広报室
TEL: 022-717-8032
E-mail: press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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