2023年 | プレスリリース?研究成果
無害で安価な新規太陽電池材料の発見 人類最初のセレン太陽電池からヒントを得て
【本学研究者情报】
〇金属材料研究所 教授 熊谷悠
〇金属材料研究所 准教授 森戸春彦
〇多元物质科学研究所 讲师 铃木一誓
〇多元物质科学研究所 教授 小俣孝久
【発表のポイント】
- 元素を置换する新たなエレメントミューテーション法(注1)と第一原理计算(注2)を用いて、アルカリニクトゲン化合物(注3)が太阳电池材料として有望であることを発见しました。
- その中でも无害で安価な元素で构成されるリン化ナトリウムを実験的に合成し、バンドギャップ(注4)が计算による値と一致することを确认しました。
【概要】
太阳电池は环境に优しいエネルギー源として过去数十年にわたり高い注目を集めてきました。太阳电池の中核をなす光を电気に変换する材料には、主に元素周期表14族(Ⅳ族)のシリコンが使われてきました。しかしシリコンは电気への変换効率が低いため代替材料が长年望まれてきました。その中には、実用化に至った13族-15族(Ⅲ-Ⅴ族)化合物のヒ化ガリウム、颁滨厂系(铜、インジウム、セレンを主な原料とする材料)、12族-16族(Ⅱ-Ⅵ族)化合物のテルル化カドミウムや、最近ではハロゲン化铅系ペロブスカイト(注5)が含まれています。しかしながらそれらの材料は、ヒ素、セレン、カドミウム、铅等の有害元素を含んでおり、依然として无害でさらに安価な元素で构成される太阳电池材料が望まれています。
东北大学金属材料研究所の熊谷悠教授と森戸春彦准教授、多元物質科学研究所の鈴木一誓講師と小俣孝久教授らの研究グループは、1873年に発見された人類最初の固体太陽電池材料である16族のセレンを手がかりに、新たなエレメントミューテーション法と第一原理计算を駆使して太陽電池材料の探索を行いました。セレンは太陽電池材料として、150年にわたり研究されて来ましたが、その効率は6.5%と実用化されている材料には遠く及びません。この原因として、バンドギャップが大き過ぎる事が考えられます。そこでバンドギャップをより最適な値に調整するため、16族のセレンを15族のニクトゲンに置き換え、足りない電子を補うために、格子間にアルカリ金属(1族)を導入する従来とは異なるエレメントミューテーション法を適用しました。その結果、1族-15族化合物のアルカリニクトゲン化合物が適切なバンドギャップを有し、さらに軽い有効質量と高い光吸収係数を持つため、太陽電池材料として有望であることを発見しました。またその中でも特にリン化ナトリウム(NaP)が無害で安価な元素で構成されており、太陽電池材料に適していることを見出しました。そして計算による予測を実証するため、リン化ナトリウムを合成してバンドギャップを測定したところ、計算値と良い一致を示しました。太陽電池材料は、長年シリコンが主流でしたが、リン化ナトリウムは安価かつ無害な元素で構成されているため、実用化となれば社会に及ぼす影響は極めて大きく、今後、実用化に向けたさらなる開発が期待されます。
本研究成果は、2023年10月3日(米国夏時間)に、米国物理学会誌PRX Energyにオンライン掲載されました。
図1. (左)固体セレンと、(右)アルカリニクトゲン化合物の結晶構造(NaPを例として)。
【用语解説】
注1. エレメントミューテーション法
ある特定の元素を、同じ闭殻构造を持つ元素ペアに置换することで、派生物质を系统的に生成する方法。通常は、1つの元素を2种类の元素に置换するが、本研究では、元素の置换と结晶构造中の空隙に新たな元素を导入することで、闭殻构造を保持する従来とは异なるエレメントミューテーション法を提案している。
注2. 第一原理計算
固体の中の电子の振る舞いを、量子力学に基づいて数値的に解く计算手法。半导体物性の予测性能が高いことが知られている。
注3. アルカリニクトゲン化合物
水素を除く元素周期表1族元素(アルカリ金属)と15族元素(ニクトゲン)の化合物。
注4. バンドギャップ
电子が存在することのできないエネルギー领域のこと。バンドギャップより小さいエネルギーの光は太阳电池の発电には寄与しないが、バンドギャップが小さすぎると取り出せる电圧が下がるため、大きすぎず小さすぎない、太阳电池に最适なバンドギャップが存在する。
注5. ハロゲン化鉛系ペロブスカイト
ハロゲン化铅系ペロブスカイト半导体(颁贬3NH3PbX3)は、2009年に初めて桐蔭横浜大学の宮坂力教授のグループによって太陽電池材料として報告された材料で、2023年には最大26.1%の変換効率が報告されている。 印刷技術によって製造できるため、太陽電池の低価格化が期待されており、国内外で開発競争が激化している。
问い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学 金属材料研究所
教授 熊谷 悠
TEL: 022-215-2106
Email: yukumagai*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学金属材料研究所
情报企画室広报班
TEL: 022-215-2144
Email: press.imr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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