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異例の不斉軸をもつキラル分子の創出 長く柔軟な炭素―ヨウ素結合の回転制御に成功

【本学研究者情报】

〇大学院薬学研究科 分子设计化学分野
教授 吉戒直彦

【発表のポイント】

  • 回転しやすい炭素―ヨウ素结合を不斉轴として固定し、新たなキラル分子(注1)の创出に成功しました。
  • 开発した分子は、室温で安定なキラリティを保ちつつ、酸に応答して回転速度を制御でき、不斉认识能も示すことが分かりました。
  • これまでキラリティとは无縁とされていた结合に着目した成果であり、センサー、触媒、机能性材料への応用が期待されます。

【概要】

その镜像と重ね合わせることができない立体构造を持つ分子がキラル分子です。分子内の単结合の回転が妨げられると、结合轴の周囲に左右非対称性が生じ、分子がキラルになることがあります。このような构造は「アトロプ异性体」と呼ばれ、不斉合成(注2)や医薬品などの分野で重要です。これまで、安定なキラリティの付与が可能なのは主に炭素―炭素など第二周期元素间の结合で、长く柔软な高周期元素の结合では困难とされてきました。

东北大学大学院薬学研究科の吉戒直彦 教授、菊池隼 助教らの研究グループは、第五周期元素であるヨウ素を超原子価状態(注3)にすることで、炭素-ヨウ素結合を不斉軸とする安定なアトロプ異性体の创出に成功しました。得られた分子は、室温でのラセミ化半減期(注4)が50年に达する高い安定性を示す一方、结合回転に伴うラセミ化の速度が酸の添加によって制御可能であることが分かりました。さらにこの性质を応用し、キラルな酸を用いた异性体の识别や选别も可能です。本研究はキラル分子设计の新たな地平を拓く成果であり、センサー、触媒、分子机械(注5)などへの応用が期待されます。

本成果は2025年4月4日付で、科学誌颁丑别尘にオンライン掲载されました。

図1. アトロプ異性体の背景と今回の研究

【用语解説】

注1. キラル分子
镜に映したときに元の构造と重ね合わせることができない分子のこと。このような性质は「キラリティ」と呼ばれ、左右の手の関係に例えられることが多い。例えば、人の体を构成するタンパク质は、キラルなアミノ酸の一方の形だけからできている。分子のキラリティは、においや味、薬の効き方などに大きな影响を与える。

注2. 不斉合成
左右の手のように镜像関係にあるキラル分子(エナンチオマー)のうち、目的の一方のみを选択的に合成する手法のこと。医薬品や机能性材料の开発に不可欠な技术である。本文中で绍介した叠滨狈础笔は、2001年のノーベル化学赏の対象となった不斉水素化をはじめ、様々な不斉合成手法に利用されている。

注3. 超原子価
元素が、通常の8电子则(オクテット则)から予想される数を超えて复数の结合を持つ状态のこと。主に高周期元素でよく见られ、そのような化合物は超原子価化合物と呼ばれる。ヨウ素は通常1本の结合しか持たないため、アトロプ异性は原理的に生じないが、超原子価构造をとることで、今回のようにアトロプ异性をもつ分子を形成することができる。超原子価ヨウ素化合物は、有机合成における酸化剤や官能基导入剤として広く利用されている。

注4. ラセミ化半減期
ラセミ化とは、片方のエナンチオマーのみからなる试料が、両方のエナンチオマーの等量混合物(ラセミ体)へと変化する现象。ラセミ化半减期は、その过程において、エナンチオマーの过剰率(别别)が初期値の半分に减少するまでにかかる时间を指す。详细な物性解析や実用的な応用を行うには、室温で1年以上のラセミ化半减期が必要とされる。なお、别别の减少は指数関数的に进行するため、半减期が50年の场合でも、ほぼ完全なラセミ体(别别が1%未満)に至るまでには300年以上かかる。叠滨狈础笔のラセミ化半减期は1016年に达するとされており、今回のように高周期元素を用いたアトロプ异性体の设计がいかに困难であるかを物语っている。

注5. 分子機械
外部刺激に応答して、动作や构造変化を行う机能をもたせたナノサイズの分子のこと。医疗や材料分野への応用が期待されており、2016年にはノーベル化学赏の対象にもなった。本研究にも登场したような、回転可能な结合(ローター)とそれを制御する"ブレーキ"(置换基)や"アクセル"(外部刺激)といった要素は、分子机械を构成する部品として広く利用されている。

【论文情报】

タイトル:Stable and responsive atropisomerism around a carbon-iodine bond
著者: Shohei Abe, Jun Kikuchi,* Arimasa Matsumoto, Naohiko Yoshikai*
*责任着者:东北大学大学院薬学研究科 教授 吉戒直彦、助教 菊池隼
掲载誌:颁丑别尘
顿翱滨:

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问い合わせ先

(研究に関すること)
东北大学大学院薬学研究科
教授 吉戒直彦
TEL: 022-795-6812
Email: naohiko.yoshikai.c5*tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)

(报道に関すること)
东北大学大学院薬学研究科 総務係
TEL: 022-795-6801
Email: ph-som*grp.tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)

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