51探花

本文へ ナビゲーションへ
ここから本文です

「トポロジー」と「対称性の破れ」の交差点 ――鉄系超伝导体における新たな量子状態の発見――

【本学研究者情报】

〇大学院理学研究科物理学専攻
准教授 水上雄太(みずかみ ゆうた)

【発表のポイント】

  • 鉄系超伝导体FeSe1-xTexの一部组成において、超伝导転移とともにバルクで自発的な磁场が発生し、时间反転対称性の破れを伴う超伝导状态が実现することを明らかにしました。
  • FeSe1-xTexはトポロジカル表面状态を持つことが知られており、时间反転対称性の破れた超伝导がトポロジカルな电子构造と共存することが直接示されたのは本研究が初めてです。
  • 本结果は、磁性トポロジカル絶縁体と相対する超伝导体を発见したものであり、今まで考えられていなかった新たなトポロジカル超伝导状态の可能性を示すものです。

【概要】

东京大学大学院新领域创成科学研究科の六本木雅生大学院生 (研究当时/现在:理化学研究所研究员)、石原滉大助教、桥本顕一郎准教授、芝内孝禎教授、同大学低温科学研究センターの藤井武则助教、东京都立大学大学院理学研究科の水口佳一准教授、山下爱智助教、东北大学大学院理学研究科の水上雄太准教授、弘前大学大学院理工学研究科の渡辺孝夫教授(研究当时)らのグループは、コロンビア大学、ブリティッシュコロンビア大学、マクマスター大学などの研究グループと共同で、鉄系超伝导体FeSe1-xTexの一部组成において时间反転対称性が破れた新奇な超伝导 (注1、図1) 状态が実现していることを明らかにしました。

本研究では、ミュオンスピン缓和法(μSR、注2)という物质内部の磁気に関する微细构造を高感度に测定できる手法を用いて、贵别厂别1-xTexの电子状态を调査しました。その结果、时间反転対称性の破れ(注3)を示す明确な証拠が発见されました。

特にTe量(x) 0.64という组成では、トポロジカル表面状态(注4)とマヨラナ準粒子(注5)の存在が示唆されており、本研究によりトポロジカルな电子构造と时间反転対称性の破れた超伝导が物质内部(バルク)で同时に存在することが明らかになりました。このような超伝导状态では、トポロジカル絶縁体に磁性を导入した磁性トポロジカル絶縁体における「ディラックギャップ(注6)」と类似した现象が超伝导状态でも现れる可能性があり、量子情报科学に応用が期待される新たな现象の探索につながると期待されます。

本研究成果は2025年7月23日付けで、英国科学誌 Nature Communications にオンライン掲载されました。

时间反転対称性の破れた超伝导とトポロジカル表面状态のイメージ図

【用语解説】

(注1)超伝导
金属を冷却すると电気抵抗がゼロになり、电流が流れ続ける现象。物质内部の外部磁场を排除するマイスナー効果も持つ。

(注2)ミュオンスピン缓和法(μ厂搁)
スピンを持つ素粒子ミュオンを物质に打ち込み、ミュオンのスピン回転から物质内部の磁场の有无や分布を高感度で测定する手法。百ナノテスラ(ミリガウス)レベルの磁场も検出可能。

(注3)时间反転対称性の破れ
物理法则が时间を逆向きにしても成り立つ性质を「时间反転対称性」と呼び、これが自発的に破れると物质内部に磁场が现れる。通常の超伝导体では时间反転対称性が保たれているが、ごく一部の例外として时间反転対称性の破れた超伝导体が存在する。

(注4)トポロジカル表面状态、トポロジカル超伝导
トポロジカル表面状态とは、物质のバルクが絶縁体や超伝导体であっても、表面にのみ伝导性を持つ特殊な电子状态である。トポロジーと呼ばれる几何学的性质に起因しており、外部からの乱れに対して非常に安定であることが特徴である。トポロジカル表面状态では、电子のスピンと运动方向が结びついたスピン运动量ロッキングが现れ、スピントロニクスや量子情报への応用が期待されている。トポロジカル超伝导は、このようなトポロジカルな电子构造を持つ物质において超伝导が発现している状态を指す。特にその表面や涡糸中には、マヨラナ準粒子(注5)と呼ばれる特殊な準粒子が出现すると理论的に予测されており、量子计算におけるトポロジカル量子ビットの実现に资する可能性があるため注目を集めている。

(注5)マヨラナ準粒子
粒子と反粒子が一致するという特殊な準粒子で、トポロジカル超伝导体の涡糸中に出现するとされる。误りに强い量子ビットの构成要素として注目されている。

(注6)ディラックコーン、ディラックギャップ
ディラックコーンとは、电子のエネルギーが运动量に対して直线的に変化し、円锥(コーン)状に広がるエネルギー构造のことを指す。この构造は、トポロジカル絶縁体や一部の超伝导体の表面状态に现れ、电子が质量を持たない粒子のように高速で运动することを可能にする。通常、このディラックコーンの交点にはすき间(ギャップ)はないが、时间反転対称性が破れたとき、その部分にエネルギー的なギャップ(ディラックギャップ)が开く。ディラックギャップの形成は、试料端を流れる量子化された自発电流(カイラルエッジモード)などの新奇な量子现象の出现と深く関係しており、トポロジカル物质の研究において注目されている。

【论文情报】

雑誌名:Nature Communications
題 名:Topology Meets Time-Reversal Symmetry Breaking in FeSe1-xTex Superconductors
著者名:M. Roppongi*, Y. Cai, K. Ogawa, S. Liu, G. Q. Zhao, M. Oudah, T. Fujii , K. Imamura, S. Fang, K. Ishihara, K. Hashimoto, K. Matsuura, Y. Mizukami, M. Pula, C. Young, I. Markovic, D. A. Bonn, T. Watanabe, A. Yamashita, Y. Mizuguchi, G. M. Luke, K. M. Kojima, Y. J. Uemura*, and T. Shibauchi*
DOI:

详细(プレスリリース本文)PDF

问い合わせ先

(研究に関すること)
东北大学大学院理学研究科物理学専攻
准教授 水上 雄太(みずかみ ゆうた)
电话:022-795-6476
贰尘补颈濒:尘颈锄耻办补尘颈*迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫
(*を蔼に置き换えてください)

(报道に関すること)
东北大学大学院理学研究科
広报?アウトリーチ支援室
罢贰尝:022-795-6708
贰尘补颈濒:蝉肠颈-辫谤*尘补颈濒.蝉肠颈.迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫
(*を蔼に置き换えてください)

sdgs_logo

sdgs09

东北大学は持続可能な开発目标(厂顿骋蝉)を支援しています