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原子核を形作る力の理解に新展開 ―ハイパー三重水素原子核を世界最高精度測定―

【本学研究者情报】

〇大学院理学研究科物理学専攻 委嘱教授  中村哲

【発表のポイント】

  • 崩壊パイ中间子分光による、ハイパー叁重水素原子核のラムダ束缚エネルギーを世界最高精度で测定
  • ハイパー四重水素原子核との同时测定による、既知の束缚エネルギーを基準とした高精度エネルギー较正を実现
  • 原子核に働く强い力と軽いハイパー原子核构造の理解への贡献、ならびに中性子星内部の物质理解への波及

【概要】

東京大学大学院理学系研究科の永尾翔助教(理研客員研究員兼務)、中村哲教授(東北大学委嘱教授、理研客員研究員兼務)、理化学研究所仁科加速器科学研究センターの木野量子基礎科学特別研究員(研究当時:東北大学大学院生)、ヨハネス?グーテンベルク大学マインツのJosef Pochodzalla教授、Patrick Achenbach教授らによる国際共同研究グループは、マインツ?マイクロトロン(注1)において、ラムダハイパー原子核(以下、ハイパー核、注2)の崩壊パイ中間子分光を行い、ハイパー三重水素原子核(以下、ハイパー三重水素)のラムダ束縛エネルギー(注3)を世界最高精度で測定しました。

ハイパー核は、阳子や中性子に加えてハイペロン(注4)を含む短寿命の原子核であり、原子核を形作る强い力の性质や成り立ちを探るために重要な手がかりです。とりわけ、最も軽いハイパー核であるハイパー叁重水素は、少数多体系の理论计算を検証する基準として重要です。今回、ハイパー四重水素原子核(以下、ハイパー四重水素)の崩壊パイ中间子を基準として同时测定することで、高精度なエネルギー较正を実现し、ハイパー叁重水素が従来考えられていたより强く束缚されていることを示唆する结果を得ました。本成果は、ハイペロン?核子相互作用、軽いハイパー核の构造、さらには高密度天体である中性子星内部の物质理解の前进に贡献することが期待されます。

崩壊パイ中间子分光法により今回新たに测定されたハイパー叁重水素原子核

【用语解説】

(注1)マインツ?マイクロトロン:ドイツ?マインツ大学に设置された世界最大のマイクロトロン型电子加速器であり、高品质?高强度の电子ビームを用いた精密な原子核?素粒子実験に利用されています。マインツ?マイクロトロンは、軽いハイパー核の精密分光研究において世界をリードする成果を生み出してきた施设の一つです。

(注2)ハイパー核:通常の原子核を构成する阳子や中性子に加えて、阳子?中性子と同じバリオンの仲间であるハイペロン(注4)を一つ以上含む原子核です。ハイパー核は、含まれるハイペロンの种类に応じて、ラムダハイパー核、シグマハイパー核、グザイハイパー核などに分类されます。本研究で対象としたのは、ハイペロンの一种であるラムダ粒子を含むラムダハイパー核です。通常の原子核の表记にハイペロンを表す记号を添えて表します。たとえばハイパー叁重水素原子核は贬、ハイパー四重水素原子核は 贬と书きます。

(注3)ラムダ束缚エネルギー:ハイパー核の中で、ラムダ粒子がどれだけ强く束缚されているかを表す量です。値が大きいほど、ラムダ粒子が原子核の中により强く结び付いていることを意味します。ラムダ束缚エネルギーは、ハイペロンと核子の间に働く相互作用の强さを知るための重要な観测量です。そのため、この値を高精度で测定することは、ハイパー核の构造を理解するうえで极めて重要です。また、理论计算との比较を通じて、强い力の理解を深めるための重要な手がかりにもなります。今回の研究では、このラムダ束缚エネルギーを世界最高精度で测定しました。

(注4)ハイペロン:阳子や中性子と同じくクォーク(素粒子)叁つからできた粒子の仲间で、ストレンジクォークを1个以上含む粒子の総称です。代表的なハイペロンとして、ラムダ粒子(Λ)、シグマ粒子(Σ)、グザイ粒子(Ξ)などがあります。ハイペロンを含む量子系を调べることで、通常の原子核では调べにくいハイペロンと核子の间の相互作用を研究できます。こうした相互作用の理解は、原子核を形作る强い力をより一般的に理解するうえで重要です。非常に高密度な天体である中性子星の内部では、阳子や中性子だけでなく、ハイペロンが现れる可能性があると考えられています。そのため、ハイペロンの性质やハイペロンと核子の间の相互作用を理解することは、中性子星内部の物质状态を考えるうえでも重要です。

【论文情报】

雑誌名:Physical Review Letters
題 名:Precise measurement of the Λ-binding energy difference between 3ΛH and 4ΛH via decay-pion spectroscopy at MAMI
著者名:Ryoko Kino, Sho Nagao, Patrick Achenbach, Satoshi N. Nakamura, Josef Pochodzalla, 他 A1 Collaboration
DOI:

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