2026年 | プレスリリース?研究成果
小胞体における亜鉛とレドックスのクロストークを発見 ?亜鉛の制御破綻による疾患発症機構の理解に新たな視点?
【本学研究者情报】
〇多元物质科学研究所 教授 水上进
多元物质科学研究所 准教授 小和田俊行
【発表のポイント】
- 亜铅は生体必须微量ミネラルですが、その制御破绽がどのような分子メカニズムで细胞毒性につながるのかはほとんど不明でした。
- 本研究で、小胞体(※1)に存在する亜铅トランスポーター(※2)ZIP7を阻害すると、小胞体中に亜铅イオンが剧的に蓄积することを発见しました。この过剰亜铅が小胞体内酸化酵素の机能を阻害し、その结果、NotchやEGF受容体といった细胞増殖や癌発生に重要な働きを持つ膜タンパク质のジスルフィド结合形成(※3)を伴う生合成が阻害されることを突き止めました。
- 亜铅イオン自体は2価で安定な金属イオンであるため酸化还元活性を持ちませんが、酸化酵素の働きを调节することで小胞体の酸化还元(レドックス)制御に重要であることを明らかにしました。今后の研究が进むことで、亜铅の制御破绽による病态発生のメカニズムを、亜铅とレドックスのクロストークの観点から解明できることが期待されます。
【概要】
亜铅は必须微量元素の一つで、様々なタンパク质と结合?解离し多様な生命现象を支えています。そのため、亜铅の不足や过剰は免疫机能、创伤治癒、味覚嗅覚障害といった病态を引き起こします。细胞膜や细胞内小器官(オルガネラ)の膜上で亜铅トランスポータータンパク质が生体膜を隔てた亜铅输送を行うことで、细胞内の亜铅浓度调节がなされています。ヒトには10种类の窜苍罢、14种类の窜滨笔亜铅トランスポーター遗伝子がそれぞれ発见されており、それらの欠损が遗伝性疾患と関连することが多く报告されています。しかしながら、亜铅イオン浓度制御の破绽が细胞机能の破绽につながる详细な分子机构はほとんど未解明でした。
九州大学生体防御医学研究所の天貝佑太助教、渡部聡准教授、稲葉謙次主幹教授らの研究グループは、新潟大学の松本雅記教授、東北大学多元物質科学研究所の水上進教授、小和田俊行准教授、京都先端科学大学の寳関淳教授、およびサン?ラファエル研究所(イタリア)のロベルト シティア教授らと共同で、ZIP7の機能阻害が小胞体中の亜鉛イオン濃度を定常状態の1,000,000倍まで増加させることを発見し、この亜鉛が小胞体酸化酵素Ero1αを直接阻害することを解明しました。その結果、小胞体が本来の酸化的な環境から還元的な環境に変化し、生体内の重要な膜タンパク質であるNotchやEGF受容体のジスルフィド結合形成が阻害され、正しい立体構造が形成されなくなることを解明しました。
今回の成果は、小胞体中の亜铅制御破绽がレドックス制御破绽につながることで细胞毒性を生み出す具体的な分子机构を解明したものになります。本研究成果をもとに、亜铅制御异常が引き起こす病态発生メカニズムが解明されていくものと期待されます。
本研究成果は英国の国際誌「Nature Communications」に2026年4月22日(水曜日)(日本時間)に掲載されました。
図1:小胞体における、分泌タンパク质の天然型立体构造形成に関わるレドックス反応経路。新规に合成された分泌タンパク质はリボソームから小胞体内に挿入され、适切なシステイン残基间でジスルフィド结合が导入(酸化)されることで天然型の立体构造を获得する。Ero1αとPDIは、この一连の酸化还元反応(レドックス反応)を触媒する中心的な酵素である。
【用语解説】
(※1)小胞体
説明 细胞内小器官の一つ。细胞中で新规に合成された分泌タンパク质や膜タンパク质は小胞体中に挿入される。これらのタンパク质は正しいシステイン残基间でジスルフィド结合が形成されることで天然型の立体构造を获得するため、小胞体内にはジスルフィド结合形成を促す一连のレドックス酵素が备えられている。
(※2)亜铅トランスポーター
説明 生体膜を隔てて亜铅イオンの输送を行う膜内在性のタンパク质。细胞外やオルガネラ内腔から细胞质方向へ亜铅イオンを输送する窜滨笔ファミリー、その反対方向へ输送する窜苍罢ファミリーの2种类が知られる。
(※3)ジスルフィド结合
説明 近接する二つのシステインと呼ばれるアミノ酸残基の硫黄原子间で、酸化反応より形成される共有结合。タンパク质の立体构造形成や活性の调节に寄与する。
【论文情报】
掲載誌: Nature Communications
タイトル:Zinc-redox crosstalk regulates proteostasis in the endoplasmic reticulum
著者名:Yuta Amagai, Chihiro Arai, Wakana Yamamoto, Satoshi Watanabe, Toshiyuki Kowada, Roberto Sitia, Jun Hoseki, Shin Mizukami, Masaki Matsumoto, and Kenji Inaba* (*: correspondence)
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问い合わせ先
(报道に関すること)
东北大学多元物质科学研究所 広报情报室
罢贰尝:022-217-5198
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