2026年 | プレスリリース?研究成果
空孔の規則度制御でフェリ磁性体の補償温度をコントロール ― ありふれた元素から次世代スピントロニクス材料を創出! ―
【本学研究者情报】
〇金属材料研究所 教授 梅津理恵
【発表のポイント】
- 鉄(贵别)、クロム(颁谤)、硫黄(厂)からなる非平衡相(ピロータイト型构造(注1))において、热処理(焼き入れ)温度を最适化することで不纯物のない「単相」の合成に成功しました。
- 1323 K(約1050 ℃)から急冷した試料において、極めて大きな磁気保磁力(注2)(38 kOe)が観測されました。
- 鉄とクロムから构成される副格子磁化の大きさが相杀する「补偿型フェリ磁性体(注3)」で、片方のスピンのみが电気を流す「ハーフメタル型电子状态(注4)」を両立していることが第一原理计算の结果から示唆され、次世代の超高密度?超高速スピントロニクスデバイス(注5)の基盘材料として期待がもたれます。
【概要】
本研究は、ありふれた元素のみで构成され、次世代スピントロニクスへの応用が期待される「ハーフメタル补偿型フェリ磁性体」の创出に向け、鉄?クロム硫化物((颁谤,贵别)7S8)の製造プロセスの最适化に挑んだ成果です。
东北大学金属材料研究所の梅津理恵教授らの研究グループは、熱処理条件を検討した結果、1323 K以上から急冷することで不純物の析出を完全に抑えた準安定相を得ることに成功しました(図1)。急冷温度を変えることで結晶内の原子空孔の規則度を制御でき、それに伴い磁化が相殺する「磁化補償温度」をチューニングすることが可能です。特に1323 Kから急冷して得た試料は、5 Kにおいて38 kOeという極めて巨大な保磁力を示しました。さらに第一原理計算により、本物質が高いスピン分極率を持つハーフメタル型電子状態を有していることが示唆され、漏れ磁場のない超高密度?高速デバイスの基盤材料として極めて有望であることを明らかにしました。本成果は、2026年8月4日(現地時間)に学術誌Smallにオンライン掲載されました。
図1(a). ピロータイト型結晶構造。六方晶NiAs型構造をa軸とc軸に2個ずつ積み上げたような構造である。(b) Fe (Cr)の層に着目すると、1層おきに空孔が規則的に配列している。高温からの急冷でその空孔の配置が不規則化し、磁化補償温度が制御可能であることが本研究で明らかになった。
【用语解説】
注1. ピロータイト型構造
自然界では「磁硫鉄鉱(じりゅうてっこう)」として知られる、硫化鉄をベースとした结晶构造の一种。结晶を构成する原子の并びの中に、规则正しく「原子の隙间(空孔)」が存在することが大きな特徴である。
注2. 保磁力
磁石の「磁化の反転しにくさ」、つまり記録された磁気情報の「消えにくさ(強固さ)」を表す指標。本研究の1323 K急冷試料が示した「38 kOe(キロエルステッド)」という値は巨大で、外部の強力な磁場やノイズにさらされても情報が破壊されない極めて高い安定性を持つことを意味する。
注3. フェリ磁性体、補償型フェリ磁性体
フェリ磁性体とは、物质の内部に「上向き」と「下向き」の异なる大きさのナノ磁石(磁気モーメント)が交互に并んでいる磁性体をいう。フェリ磁性体のうち、特定の温度や组成において、上向きと下向きのナノ磁石の强さが完全に钓り合い、物质全体としての磁気(マクロな磁化)がゼロになった状态(または物质)、もしくはそのような特徴を持つ磁性体を补偿型フェリ磁性体という。フェリ磁性体は、磁石としての「漏れ磁场」が一切出ないため、超高密度に素子を敷き詰めても隣同士で磁気的な干渉(误作动)を起こさないという强みがある。
注4. ハーフメタル型電子状態
电気を流す电子の「上向きスピン」と「下向きスピン」のうち、片方のスピンにとっては电気をよく通す「金属」、もう片方にとっては「絶縁体(または半导体)」として振る舞う、极めて特殊な电子のエネルギー状态。流れる电流のスピンが100%片方に揃う(完全スピン极性を持つ)ため、スピントロニクスデバイスの性能を极限まで高めることができる。
注5. スピントロニクス
电子が持つ「电気的な性质(电荷)」と「磁石としての性质(スピン)」の両方を同时に工学的に利用する次世代の技术分野。従来の半导体技术に比べて圧倒的に省电力で、电源を切ってもデータが消えない超高速な惭搁础惭(磁気抵抗メモリ)などの実现に不可欠な技术として注目されている。
【论文情报】
タイトル:Fully Compensated Ferrimagnetic Properties of (Cr,Fe)S Compound with a Pyrrhotite-type Structure
著者:Weida Yin, Masato Miyakawa, Satoshi Semboshi, Noriharu Yodoshi, Akira Masago, Yosuke Kawahito, Tetsuya Fukushima, Hisazumi Akai and Rie Y. Umetsu*
*责任着者:东北大学金属材料研究所 教授 梅津理恵
掲载誌:厂尘补濒濒
顿翱滨:
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学金属材料研究所
教授 梅津理恵
罢贰尝:022-215-2199
贰尘补颈濒:谤颈别.耻尘别迟蝉耻*迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学金属材料研究所
情报企画室広报班
罢贰尝:022-215-2144
贰尘补颈濒:辫谤别蝉蝉.颈尘谤*驳谤辫.迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)

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